満潮に乗って
(アガサ・クリスティー/恩地三保子 訳)
ハヤカワ文庫
原題:Taken at the Flood
面白ーい。読みやすかったからすらすらとページが進む。いつもは登場人物を覚え込むのに苦労するんだけど、これは登場の仕方も個性も際立っていて人物像を想像しやすかった。本のカバー内側の登場人物名を見たら笑えるほどクロード姓ばかりで難儀するかと心配してたから。
一族の一人が金持ちで将来の心配もなかったクロード家の面々。その頼りにされていたゴードン・クロードが若い娘と結婚してすぐ戦争の爆撃によって死んでしまったためいきなり金詰まりに(財政上の危機ともいう)。憎しみとか体面とか戦後の心の傷痕など人々のドラマと、そして勿論殺人の謎とエルキュール・ポアロ。最後はとてもいい感じに終わった。
ただお目こぼしにはちょっと納得できないんだけどな。