2009年11月14日土曜日

連環


連環(松本清張)
講談社文庫

野心のために人を踏み台にし、殺人さえも厭わず、そうやって金を手に入れた主人公は着実に事業を成功させつつあるが、破滅の足音がだんだんに主人公を追い込んで行く。

強気の主人公はなんとかうまく立ち回ってきてはいるが、目に見えない敵と(目に見える)人々が徐々に主人公の神経を参らせていく様子がリアルで、読んでいるうちに主人公の気持ちに入っていって周囲の人間たちが薄気味悪く見えてくる。実際主人公もだけど追いつめる側の人間も汚い。息詰る戦いのようで一気に読んでしまった。

印刷や出版やジャンルに関することも興味深かった。