2009年11月25日水曜日

方丈記


方丈記
(鴨長明)1212年
日本古典文学テキストより

『行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。』の書き出しで有名な古典。ここの一段落分しか知らなかったけど、全文はそれほど長くはなく文章も読みやすかった。とは言っても高校以来すっぱりお別れしていた古典の文章なんで難しくてわからない所も多かったけど。でも英語多読と同じようにわからない所を気にせず読んでいった。少なくとも外国語よりは内容に浸れる。

前半が大火事や地震などの大きな災害などについて描かれ、後半は人里離れた筆者の暮らしが綴られている。人との関わりを避けた様子はどことなく寂しげ。冷静に、どことなく冷ややかに世間を見てるようでもあるけど、あんまり何度もこれこれこういう面倒がないって出てくるので、もしかすると本当は寂しいんだけど自分に言い聞かせているようにも見えたりして。


青空文庫ブラウザのazurで同じようにキレイに表示される。ただ、もとのページをSafariでそのまま読むとルビの部分がそのまま表示されてしまっている。ソースを見たらルビ用のタグが使われていてこれがSafariでは表示できないようだ。今知った。ちなみに青空文庫はルビ部分をさらに括弧でくくってあるのでSafariで読むのにも差し支えないようになっている。これも今知った。

2009年11月24日火曜日

パタリロ! 文庫版45巻


パタリロ! 選集45巻 
謎解きパタリロの巻
(魔夜峰央)
白泉社文庫

文庫の新刊!本当に久々に出たなー(44巻は2007年発行)。副題通り謎解きのストーリーが多い。内容もギャグも充実しててすごく楽しめた。面白かった。笑えた。

ちょっとだけ気になったのが、女の子キャラの絵に(魔夜峰央さん的な)美がなくなっちゃったのかなって思った事。「パタリロ娘」での子供たちがかわいくないし、他の話に出てくる19才の子も器量が足りない。

ヒューイットさんがパワーアップしてて面白い人になってた(というか相変わらずというか)。面白さではこの話が一番笑えた。

解説は各巻の表紙を飾る人形の製作をしている方。これも面白かった。今回の表紙はそれはそれはインパクト大。

2009年11月22日日曜日

平家物語


(文 ささきようこ、絵 駒原みのり)
表現社

よく旅行先で土産物屋さんにむかし話なんかの和綴じの本が並べられてるコーナーがあるでしょ。その中に「平家物語」があったので思わず買った。52ページで表紙裏には地図や家系図も載っている。なかなかな拾い物だなって満足した。簡単に読み切れたし。ただ名前が多くて混乱するんでじっくり読んで覚えていきたい。

平家物語って有名な割に知らないんだよね。古典の授業ではイントロ部分と俊寛僧都の場面を習ったり、他は漫画やドラマ等で源頼朝や義経がメインの話の中とか、手塚治虫さんの「火の鳥」等で部分的に知ったくらいで。通したあらすじを知ったのは初めて。すごい大河な戦記物なんだなあ。

よく見ると表紙は「平家物語 一」になってた。1ページ目には「平家物語一 滅亡への歩み」とあるので2巻目以降もあるのかも。

2009年11月20日金曜日

監獄部屋、扉は語らず


青空文庫より

監獄部屋(羽志主水)
扉は語らず-又は二直線の延長に就て(小舟勝二)
恋愛曲線(小酒井不木)
江戸川乱歩氏に対する私の感想(夢野久作)

下の二つは再読。夢野久作さんのを読んで、その中に出てきた作品名や作者名から上の二つを読んだ。「恋愛曲線」もこれから知ったんだけどすごい作品で、タイトルを見たらまた読みたくなったので。

「監獄部屋」も「扉は語らず」もすっごく後味が悪いんですけど。でも「監獄部屋」は衝撃的でぐさっと心に残る。「扉は語らず」は文章表現がちょっと面白くて一風変わってた。淡々としてるとこも怖い。

2009年11月19日木曜日

世界怪談名作集よりいくつか


青空文庫より
世界怪談名作集(訳 岡本綺堂)
 04 妖物(ダムドシング)(アンブローズ・ビヤース)
 06 信号手(チャールズ・ディケンズ)
 09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃(アーサー・コナン・ドイル)
 10 廃宅(エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン)

 今回の読書はなんかイマイチだったな。「廃宅」は解決というには不足があって納得できないし、「信号手」や「北極星号の船長」は怖くなかった。「信号手」は情景がイメージできなかったし…読解力が足りないのかもしれないけど、知らないことって想像できないしね。「妖物」は発想が面白くてこの中では一番よかった、ただ設定が地味すぎて物足りないって思った。

2009年11月18日水曜日

藪の中


青空文庫より
藪の中(芥川龍之介)
1922(大正11)年

ひとつの殺人事件の当事者3人の証言に食い違いがある、というストーリーで面白い。ずっと昔テレビで見た黒澤明監督の映画「羅生門」はこれだったのね。見た当時は映画のタイトルと、知ってた小説の方の「羅生門」と内容が全然違っていたので???と思ってた。映画は印象強かった。ただ残念なことに詳しい結末まで覚えていない。また映画をもう一度見たくなった。

証言が人によってずれがあり事件が形を変える(形が見えてくる)って話で忘れられないのが、山岸凉子さんの漫画「瑠璃の爪」。流れが映画「羅生門」を思い出させた。内容がまたさすが、って感じで、地味にキツくてひどく心の中に留まっている。

Wikipedia:藪の中
Wikipedia:羅生門(映画)

2009年11月16日月曜日

半七捕物帳 7〜10、他


今日は青空文庫の 岡本綺堂 の作品リストから。なるべく短めのものを選んでいくつか読んだ。

半七捕物帳(岡本綺堂)
 07 奥女中
 08 帯取りの池
 09 春の雪解
 10 広重と河獺

世界怪談名作集(訳 岡本綺堂)
 01 序/目次
 18 牡丹灯記(瞿佑(くゆう) 作)

年賀郵便(岡本綺堂)
読書雑感(岡本綺堂)
風呂を買うまで(岡本綺堂)

下の3つはエッセイ(かな?)のようで時代の変化がすごく興味深い。特に「読書雑感」はね。本に関しては後の時代に生まれるほど恵まれた環境だなっては実感してる。今ってすばらしい時代だよね。などと思いつつ、まださらにアマゾンのキンドルを欲しがってる自分がいたりする。

2009年11月14日土曜日

連環


連環(松本清張)
講談社文庫

野心のために人を踏み台にし、殺人さえも厭わず、そうやって金を手に入れた主人公は着実に事業を成功させつつあるが、破滅の足音がだんだんに主人公を追い込んで行く。

強気の主人公はなんとかうまく立ち回ってきてはいるが、目に見えない敵と(目に見える)人々が徐々に主人公の神経を参らせていく様子がリアルで、読んでいるうちに主人公の気持ちに入っていって周囲の人間たちが薄気味悪く見えてくる。実際主人公もだけど追いつめる側の人間も汚い。息詰る戦いのようで一気に読んでしまった。

印刷や出版やジャンルに関することも興味深かった。

半七捕物帳を3つ、他


●青空文庫より

半七捕物帳(岡本綺堂)
 04 湯屋の二階
 05 お化け師匠
 06 半鐘の怪

修禅寺物語(岡本綺堂)

●プロジェクト杉田玄白より

マッチ売りの少女(アンデルセン)
ブタ飼いの王子(アンデルセン)

Hans Christian Andersen: Fairy Tales and Storiesより

The Little Match-Seller
The Swineherd
(上記の英語版)

「修禅寺物語」は手塚治虫さんの「七色いんこ」で知った。
「ブタ飼いの王子」って何かおかしなストーリーだな、煙にまかれた感じ。アンデルセン童話の英語ページには山ほど作品が載っているけど私の英語力ではやっぱり難しめだから知っている話やこんなふうに翻訳してくれているものから攻めていこうかなと。

2009年11月13日金曜日

The Monkey's Paw


The Monkey's Paw
( W.W. Jacobs )

誰でも知っていると思う「猿の手」という怖〜い話。1902年。この哀しみと戦慄!すごい作品だなと再認識しました。

2009年11月12日木曜日

怪談:怪しい物の話と研究


怪談:怪しい物の話と研究
(小泉八雲/小林幸治 訳)
プロジェクト杉田玄白より

こちらにも「怪談」が。ほとんどのものが訳されている。しかも英語も一緒に載っているのでどうせだからここで全部読んでしまおうと思って読ませていただきました。最初に英語の方を読んでから翻訳を。多読では知らない単語は気にしないようにとなってるけど難しい単語が多すぎるとどうしても気になってしまう。でも翻訳がセットだと安心して単語気にしない読みができた。

翻訳されていないものがいくつかあって、そこはやっぱり理解度が半分にもなってないだろうけど、それでもまあ粗筋くらいはつかめたかな。ただ「虫の研究」の「蝶」と「蟻」は長文だしほとんどわからなかった。でも一応は読んだけどね(目を通しただけともいえる)。

ところでここの「葬られた秘密」の中でお園という女性の幽霊が出るのだけど、登場するときの表現(『水面に映る影が透けて見えるように』の前後)で、ああ、幽霊ってこういうイメージで考えられてるから足がない姿で描かれるのかって妙に納得した。

2009年11月5日木曜日

放課後


放課後
(東野圭吾)講談社文庫

後味がちょっと辛いかな〜。でもすごい、さすが江戸川乱歩賞受賞作という感じで期待を裏切らない読み応えだった。夢中で一気読みしてしまった。主人公は女子校の教師という設定が息苦しいような閉塞感を生んでいて、オビに書いてあるような「青春ミステリー」って感じはちょっと違うかな。普通の高校生活なのに何かが起こるような不安(と期待)が常に感じられてた。

2009年11月4日水曜日

名探偵の呪縛


名探偵の呪縛
(東野圭吾)講談社文庫

「名探偵の掟」の続編、と言っても特に前作をあまり覚えていなくても(!)問題無し、の長編作品。楽しくどんどん読み進められる。
名探偵な主人公が活躍する世界は普通の世界と大きな違いがあり。また本格的な事件が起こる前から、ある謎が横たわる。作者の作家としての思いが込められた作品ともいえる。




骨董的本格か社会派かってそんなに大事なのかな、どっちも好きだけど。まあそれほどミステリって読んできてないし無責任な読者だから思うんだろうけどね。

2009年11月3日火曜日

タイムマシン


タイムマシン
(ハーバート・ジョージ・ウェルズ/山形浩生 訳)
プロジェクト杉田玄白より

長かったので2日で。面白かった。タイトルからの想像とはだいぶ違った内容だった。
アジュール(青空文庫リーダー)を使いだしてから初めての長い作品のパソコン読書だったかなと思う。

名前しか知らなかったけど有名なこういう作品までネットで読めてしまうなんていい時代だなあ。気概を持った方々の活動には頭が下がります。



もうひとつ読んだのはVOA Special Englishから
A Scary Story to Get You Into the Halloween Spirit
そんなには怖いストーリーではないような気がした。音声はいい感じ。