2009年10月14日水曜日

本:園芸家12カ月


(カレル・チャペック/小松太郎 訳)中公文庫

面白くて一気読み。作者はチェコの有名な文学者らしい。同時に中毒ともいえる園芸マニアでもあるらしい。

庭を愛し、植物を愛し、土作りを愛する…なんていうと教科書的人物っぽい響きが出てしまうが、いやいやそうじゃなくてワガママで偏執狂的で対象への奴隷で傍から見れば変わり者の、世に言うマニア。愛の対象も「自分の」庭、「自分の庭の」植物または「自分の庭にあるべき」植物、「自分の庭の」土作り。そんな園芸家たちの1年間を面白おかしく綴っている。

翻訳がまた上手で、皮肉めいた言い回しとか作者が日本語で書いているとしか思えない。それに園芸にも詳しいらしく訳注だけで15ページもあり、これはこれで読みごたえがある。驚いたのはこの方もう亡くなっているんだけど明治生まれで解説の日付は昭和34年(1959年)。作品も翻訳も古い物だとは全然気がつかなかった。