2011年1月3日月曜日

P-13 & 死亡フラグ

1. 死亡フラグが立ちました
(七尾与史)宝島社文庫

面白いー、ざーっと夢中で読めちゃった。ミステリーというよりはサスペンス小説といえるかな、ある意味ホラーでもあるような感じ。さらにはユーモアやパロディな部分もあり。怖さと可笑しさのバランスがよくて楽しかった。

「死神」という名の殺し屋の罠が十重二十重と取り巻いていて、最初別々だったエピソードが繋がり出してくる怖さ、普通のサスペンス系では絶対お目にかかれない手口、死亡フラグって言葉を使うあたりも狙ってる感じで惹き付けてくる(ただこの「死亡フラグ」をもっと激しく「あっ!」て思うように機能させて欲しかったけど)。ついでに言えば「死亡フラグとは?」の説明がオビに書かれてるけどこれはオビじゃなくて一応は本の巻頭に書くべきじゃないかなと思った。

続編とか期待しちゃう。




2. パラドックス13
(東野圭吾)毎日新聞社

パニック系のドラマ。P-13という謎の現象にいきなり絶望的な世界に放り込まれた十数人のサバイバルが描かれる。政府首脳のみが知っていたP-13とは何か、一体何が起こったのか、なぜ自分たちだけなのか等々謎だらけで、状況は激しく危険で予断を許さない厳しいもの。目を離せない展開で一気に読み切れる。

終わり方がちょっと寂しかった。ああいう形でまとめられて納得はできるけれども、もう少しだけ何か感慨を足して欲しかったな。また皆のリーダーであった誠哉が完璧すぎるのもちょっと。例えばその資質を身につけた何かのちょっとしたエピソードがあればもう少し人間味が感じられたかも。細かいとこでは人数が少なすぎる割に食糧が足りなさすぎではないかとか、その割に荒廃した場所でトイレがどうとかなんてサバイバルにしては呑気なことを、とか思った。

そういった多少の不満はあるものの、感動的な人間ドラマで、SF的な設定も巧みで
満足した。