(アガサ・クリスティー/小尾芙佐 訳)
ハヤカワ文庫
手掛かりが多すぎて何が事件に関係しているのか見当がつかない。そのくせそもそも事件が何なのかわからないという難題。ことの起こりはポアロの元に相談に訪れた(ポアロ的には)変な格好をした若い娘だった。「人殺しをしたかも知れない」とまるで謎掛けのように。しかし結局何も告げないまま去ってしまう。
ポアロとオリヴァ夫人が活動的に事件を探り面白かった。冒頭部分のポアロとオリヴァ夫人のやりとりが笑える。真相はビックリ。ちょっと惜しいのが、時間軸のトリックが、かなり練られたものなんだろうし感心はしたんだけどインパクトが弱い感じがした。「ああ、そういうことだったんだ」って。希望としては「えーっ!そうだったのかー!」っていうように効果的に演出して欲しかった、これに関する経過の部分で。