(七尾与史)
徳間文庫
タイへの旅行中に突然恋人の奈美が失踪する。言葉の通じない異国で国分隆史は途方にくれ…。
軽めなタイトルとは裏腹に残酷な場面が展開されるので最初はちょっと面食らった。エグいシーンが多いのでこのタイトルとのギャップは狙いすぎで刺激が強すぎるんじゃないかな。
進行はスピーディーで飽きさせない。繰り出す手もいろいろ変えていてマンネリ化せず一気に読み切れる。面白かった。グロテスクな描写を嫌う人も多いかもしれないけど私は嫌いじゃないみたい。昔平井和正さんの小説すごく好きで読んでたし(ウルフガイとか死霊狩りなどのシリーズ)。
ごく普通の人が恐ろしい犯罪集団の餌食になる恐怖がチリチリと刺すように感じられて怖い。ただどうしても小説全体がちょっと軽めに感じらてしまう。「得体の知れない巨大な組織」の一言でまとめられてしまってるせいではないかと思う。そういったニュアンスの言葉が幾度か出るので、多分だけど設定もされていないのではないかと思える。一般人に追撃できる限界はあるけどね。続編とか書いてくれないかな。
終わりがやや尻すぼみな感はある。とはいえ彼女の台詞はすごく印象に残った。