2011年4月25日月曜日

失踪トロピカル(七尾与史)

失踪トロピカル
(七尾与史)
徳間文庫

タイへの旅行中に突然恋人の奈美が失踪する。言葉の通じない異国で国分隆史は途方にくれ…。

軽めなタイトルとは裏腹に残酷な場面が展開されるので最初はちょっと面食らった。エグいシーンが多いのでこのタイトルとのギャップは狙いすぎで刺激が強すぎるんじゃないかな。

進行はスピーディーで飽きさせない。繰り出す手もいろいろ変えていてマンネリ化せず一気に読み切れる。面白かった。グロテスクな描写を嫌う人も多いかもしれないけど私は嫌いじゃないみたい。昔平井和正さんの小説すごく好きで読んでたし(ウルフガイとか死霊狩りなどのシリーズ)。

ごく普通の人が恐ろしい犯罪集団の餌食になる恐怖がチリチリと刺すように感じられて怖い。ただどうしても小説全体がちょっと軽めに感じらてしまう。「得体の知れない巨大な組織」の一言でまとめられてしまってるせいではないかと思う。そういったニュアンスの言葉が幾度か出るので、多分だけど設定もされていないのではないかと思える。一般人に追撃できる限界はあるけどね。続編とか書いてくれないかな。

終わりがやや尻すぼみな感はある。とはいえ彼女の台詞はすごく印象に残った。




2011年4月23日土曜日

五匹の子豚(クリスティー)

五匹の子豚
(アガサ・クリスティー/山本やよい 訳)
ハヤカワ文庫


16年前の殺人事件。妻が夫を毒殺し、その後妻は獄死する。当時5歳だった娘の依頼を受けてポアロが再調査を始める。


ずーっと以前にも読んだことがある。内容はほぼすべてを忘れてたけど真相のなかの1シーンだけは強烈な印象があったので、わかってて読み。それでも楽しめた。丁寧に読み進むこともできた。でも全部忘れてればもっとよかったのに。

オーディオブックも聞いた。最初に読む前にも聞いたけど難しすぎー、登場人物の名前すらよく聞き取れなかった。それでも五人の登場人物を「Five Little Pigs」の唄に合わせていて、5人の訪問、5人の手記、再度5人を訪問し質問し、そして真相のステージ、と場面が整理されてストーリーが進められていくし、それと真相そのものがわかってたので聞くのが辛くはなかった。

本を読んだ後は聞き易い、当たり前だけど。とはいえ細かい説明のところはわけわからないので読んだとこの記憶頼りに聞いている。3巡目。このストーリーは説明が長々で進行がゆっくりなのでラジオドラマ版のオーディオブックもいいかも。

・Five Little Pigs (Unabridged) :6時間39分:$11.12 (定価$15.88)
・Five Little Pigs (Dramatised) :1時間28分:$5.86 (定価$8.37)


2011年4月20日水曜日

オーディオブック5つ

ここんとこ仕事(農作業)がやたら忙しいのでこの時期英語はオーディオブック中心で。ほぼずっとiPod使ってられる仕事ってのもなかなかないかもね。ただし話しかけられても気付かないことがあるのがマズいけど。

オーディブルにOxford Bookworms(OBW)のシリーズがいつの間にかあったので喜んでる。定価$5.04だけど$2.95。iTSでも単価500円で置いてある。

直近では以下の3つをダウンロード購入して聴いた。
  1. Agatha Christie, Woman of Mystery(OBW2)
  2. Frankenstein (adaptation)(OBW3)
  3. The Hound of the Baskervilles (Adaptation)(OBW4)
上2つは前に本でも読んでいることもあるし、英語が優しくて内容が楽しめる。3番目はなんとか流れについていけたものの細かな所がちょっとわからなかった。何回か繰返し聴けばわかるだろう。時間が1時間から2時間ちょっとと短いので気楽に聞けていい。

1はアガサ・クリスティーについて。2は「フランケンシュタイン」何度聞いても胸に迫る悲しさに満ちている素晴らしい作品。3はホームズ物で「バスカヴィル家の犬」。


あと、これより前にOBWのシリーズではないけれど買った作品。これも易しい英語でわかり易かった。
  • Who Was Johnny Appleseed?($2.06)
開拓時代のアメリカに実在したジョニー・アップルシードというパイオニアの伝記。リンゴの種を育て、苗を売り、一生のほとんどを裸足で外で旅で過ごし、聖職者のようでもあり成功者でもある、半ば伝説と化した人物。


他にはクリスティーのラジオドラマとか。
  • And Then There Were None (Dramatised)($6.16)
これはちょっと不満。早口の会話で風情に欠ける気がした(英語が難しいのもあるけど)。

この作品に関してなら朗読版の方がいい。前にCDで購入して聞いてたんだけど(5枚組で約6時間)、ヒュー・フレイザーさんという人の朗読で、すごく気に入ってて何度も聞いた。勿論そちらも小説そのままの朗読だから易しくはないけど、元々の作品が大好きで翻訳(「そして誰もいなくなった」)を何回も読み返したりしてどっぷり浸かってたから。

残念ながらこの朗読版はAudibleにはないんだよね。クリスティ作品目当てでオーディブルに入会したのに最初は「スタイルズ荘の〜」と「秘密機関」しかなくて非常にがっかりした。購入者の国によって買えないものがあるらしい。入会前だといろいろ並んでたのにー。

でもそのうちにラジオドラマ版の作品が並ぶようになって、さらに最近、嬉しいことに朗読版が4つ増えてる!。今後も増えていくだろうか。すごく期待してる。
  • Five Little Pigs
  • Sparkling Cyanide
  • Partners in Crime
  • The Man in the Brown Suit
上3つはHugh Fraserさんの朗読。すぐ欲しいけど、まずは翻訳本を読んでからにしよう。






「野田さん」のファンに

野田ともうします。 1巻〜3巻
(柘植文)
講談社ワイドKC

夜中にたまたま点けたテレビでたまたま見たショートドラマ、NHKで右上にワンセグ2とか書いてあった。何だろ?あんまり面白くないなーなどと最初思ってたけどなかなか目が離せない。結局終わるまで見続けて夜更かしとなった。

番組のページによると「4月16日1:15〜2:55 全20話一挙放送」とある。幸運にもこれにたまたま出会えたのだった。翌日本屋さんに買いに行く。丁度3巻までの3冊だけ置いてあり即入手できたのもラッキー!。

女子大生というにはあまりに地味、趣味は読書、好奇心と行動力が旺盛、かといって決してハイテンションでもない(のかな?)、堂々と我が道を行く野田さん…、どうもうまく説明できてないかも。野田さんとその周りの人の日常風景、普通っぽくて普通じゃない(っぽくて普通?)妙すぎる面白さで夢中になっちゃった。